客殿前には裏山を借景にした池泉庭園があります。

池は全体を星曼荼羅として天空を現すように造られています。北斗七星の形に水面に七石(影向石)が配され、これは同時に古代の房総で信仰された七佛薬師如来を現します。

二つの滝は妙見神呪の滝です。それぞれ大呪・小呪を現します。妙見とは房総の中世に君臨した武士団千葉氏の信仰した尊格です。耳を澄ませて聞くと妙見菩薩の真言が聞こえるかも知れません。さらに池の四隅に道教の四神(青龍・朱雀・白虎・玄武)を現す岩が配されています。庭園と他を区画するのは雅な光悦寺垣です。

池は清涼な地下水(宝珠水)を満々とたたえ、四季折々の草花に彩られています。季節で装いを変える背景の里山も魅力です。

住職が構想を練り、八街市の作庭舎が入念の施工で昨年六月に完成したものですが、すぐにトンボや水生昆虫がどこからともなくやってきて住み着くなど、既に周囲の自然となじんでいます。夏には時々カワセミや黄セキレイなど清流の鳥がやってきました。冬の間は岸が凍てついた時期もありましたが、春になって柳の新芽が吹き、紅白の花モモが咲いて華やかな彩りを取り戻しています。

「花いかだ」です。榧(かや)の大木の根元にあります。珍しく葉の上に花が咲き、実がなるのです。その様子がいかだに乗っているようなのでこの名前があります。

池の上の榧の木の下には様々な植物が生えています。おそらく枝に止まった鳥が種を運んでくるからだと思います。自然の営みですよね。リスも棲みついていて、実に器用に穴をあけて食べています。最近姿を見ませんが、食べかすが大量に見つかります。